介護士というのはただ高齢者の介助をしているだけでいいという訳にはいきません。
利用者に対してどんな介護を行ったのか?
その利用者は1日どんな様子で過ごしていたのか?
こういう情報を介護記録として残さなければいけないんです。
家族から利用者の様子を聞かれた場合に介護記録が全く書かれていないとその利用者が普段どんな生活を送っているのかが分かりません。
でも介護記録って書くの難しいんだよねぇ…
何を書いたらいいのか分からないし…
そこで介護記録はどんなことを書いたらいいのか?
介護記録の書き方のポイントや介護記録を書く目的について紹介したいと思います。
介護記録は苦手だ!って思っている方は参考にしてくださいね!
介護記録を書く目的
介護記録を残す目的はいくつかあります。
②介護の意識や技術の向上のため
③利用者の生活状態の把握
④介護サービスの評価と改善
⑤事故や訴訟などの万一の事態に証拠として備える
介護記録はこれらの目的のために毎日継続して残す必要があるんです。
①職員間での情報の共有のため
介護士というのは毎日同じメンバーで働いているわけではありません。
昼間の勤務もあれば夜勤もあり、毎日交代して勤務を行っているので毎日同じスタッフで働くというわけじゃないんですよね。
毎日顔を合わせないけど利用者の情報は共有しないといけませんので、そんな時に役に立つのが介護記録なんです。
介護記録を残すことで利用者の情報をうまく共有することができますので、細かいことでも介護記録は残す必要があります。
②介護の意識や技術の向上のため
介護士の対応というのはこれが正解というのはありません。
この利用者にはこの対応ができるけど、別の利用者に対してはこの対応では無理!というのがけっこうあるんですね。
介護施設なわけですから施設には何十人といった利用者が入所されています。
介助方法にしても基本的な部分は同じでもやはり細かい部分は違ってきますよね。
左半身麻痺の方と右半身麻痺の方とではやはり対応も異なりますからね。
介護記録を見て、この日はこういう状況だったのなら今日はこういう対応をしてみようという意欲にもつながるわけですね。
毎日同じやり方、同じ対応といった流れ作業的な意識では介護の仕事は務まりませんからね。
③利用者の生活状態の把握
介護記録にその人が1日どんな様子ですごしていたのか?ということが書かれていれば、家族にどんな様子か聞かれてもすぐに返答することができますよね。
毎日楽しそうに過ごしているのか?
ただテレビを見ているだけなのか?
家族としては自分の親が1日どんなことをして過ごしているのか?というのは知りたい部分ではありますからね。
④介護サービスの評価と改善
利用者の状態というのは日々変化していきます。
状態がよくなる方もいれば悪くなる方も当然いるわけです。
状態が悪くなっているのに今までと同じ対応でいい!というわけにはいきませんので、介護サービスの評価や改善をするのに介護記録はとても参考になります。
⑤事故や訴訟などの万一の事態に証拠として備える
もし事故が起こった場合に介護記録というのは重要な証拠になるんです。
例えば夜間に利用者の方が急変したとします。
でもその利用者についての介護記録はほとんど何も書いていない状態だとすると?
家族としては何も書いてないけど、介護士は一体何をしていたんだ!!ちゃんと見てくれているのか!?ってなりますよね?
ちゃんと見ていましたよ!って言っても介護記録に見たという証拠が書かれていないわけですから、家族から見てないじゃないか!って言われても仕方がありません。
なのでいつ何があってもいいように普段から介護記録を残すことは大事で、自分の身を守るためにも必要なことなんです。
介護記録には何を書けばいいのか?
介護記録を掻く目的を書きましたが、じゃあ介護記録って何を書けばいいのか?
これは介護初心者の方が戸惑う部分でもあります。
要介護度が低い利用者でなんでも自分でできる方というのはホントに何を書けばいいの?って思ってしまいますからね。
介護記録を書くポイントは基本的には「5W1H」を意識して書くということ。
5W1Hというのは、
どこで(Where)
誰が(Who)
何を(What)
なぜ(Why)
どうしたか(How)
この5W1Hを意識して書くことで介護初心者の方でもわりとスラスラと介護記録の書けるようになります。
ポイントは頭で「いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どうしたのか」というのを意識しながら介護記録を書くことです。
例えば15:00にAさんがトイレで転倒していたとします。
この事実を「5W1H」を意識して介護記録に残す場合、
いつ 「今日の15:00に」
どこで 「トイレの前の左側の洗面所前で」
誰が 「Aさんが」
どうしたのか 「車椅子から立ち上がり転倒していた」
なぜ 「トイレが終わって手を洗おうとして立ち上がったのが原因と考える」
という感じで書く時に「いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どうしたのか」を意識することでけっこうスラスラと介護記録が書けます。
またこの「5W1H」を明確にして記入することで情報の共有がしやすくなるというメリットもあります。
書き方もバラバラ、各内容も人によって全然違うとなると情報の共有が難しくなるんですよね。
介護記録を書く上でのポイント
誰が読んでもイメージがわくように具体的に書く
介護記録の中には「この言葉の意味って何?」とか「だからどうしたの?」等のちょっと意味が分からないような書き方をしている方も多くいます。
せっかく介護記録を書いたとしても、書いた内容が第三者に伝わらなければ意味がありません。
誰が読んでも「なるほど!」と納得できるような分かりやすい文章で書く必要があります。
誰が見ても分かりやすい文字や言葉で書く
介護記録を見ていると略語や専門用語で書かれていることも多々あります。
介護業界ではそれだけ略語や専門用語が多く使われているんですね。
でも略語や専門用語をそのまま介護記録に残してしまうと、知識がない方が見ても理解することができないんですね。
基本的には利用者の家族に見せても理解できるよう略語や専門用語はなるべく使わずに分かりやすい言葉で丁寧に書くようにしましょう。
自分が見たこと、聞いたことをそのまま書く
利用者から暴力を受けた、利用者が徘徊している、食事を拒否した。
こういう言葉を介護記録の中にはよく見られます。
暴力や徘徊、拒否というのは介護士の感情が入った言葉なんですよね。
利用者が廊下をウロウロしているなぁ~と思い、記録には利用者が徘徊しているって書いてしまうんですよね。
でも利用者が廊下をウロウロしているのには理由があるから歩いているだけなんです。
もしかしたら出口を探して歩いているだけなのかもしれないし、または何かを探して歩いているのかもしれません。
こういう場合は自分の憶測や感情だけで記録を書くのではなく、利用者になぜウロウロしているのか?を確認し、事実をあるがままに記入することが大事です。
また自分で動くことができない方や会話ができない方について何を書いたらいいのか分からないという方もいますが、寝たきりの利用者については普段とは何がどう違うのか?を意識してよく観察することがポイントです。
昨日とはどう違うのか?声かけでいつもとは違う反応はしないか?手がピクッて動いたといった細かい部分をよく観察するようにしてください。
場所を具体的に書く
介護記録の中には明確な場所が書かれていないことが多いです。
例えば部屋で起こった場合だと、部屋のどこで起こったのか?を詳しく書かないと介護記録を見た人はイメージしにくいんです。
部屋のどこ?ベッド上で?それともベッドサイド?それとも部屋の窓際なの?とイメージしにくくなりますので、具体的な場所を書く必要があります。
利用者の状態の変化、利用者や家族からの要望に対しての処置や対応を書く
利用者の状態が変化した場合(熱が出た、怪我をした)はその状態を詳しく書く必要があります。
また利用者や家族から「○○してほしい」、「○○はこのように対応してほしい」と要望があったとします。
もちろん介護記録にはこの要望を書く必要がありますが、その要望に対してどう対応したのか?も詳しく書くようにしましょう。
どう対応したのかが書かれていないと他の介護士が見た時に対応したのかしていないのかが分かりませんからね。
根拠に基づいた介護の視点を意識する
利用者への介護を行う場合、その対応には必ず根拠があるはずです。
例えばAさんがトイレに行く場合、トイレはこの方向に向いているトイレしか使えないとします。
では何故決まった場所のトイレしか使えないのか?
それはAさんには右半身麻痺があるので右半身マヒの方にはこのトイレの介助バーが最適だからというわけです。
この根拠を理解していないと右半身マヒの方には難しいトイレを選択してしまう可能性も高くなってしまいます。
簡単に書ける介護記録の書き方のポイント!まとめ
介護記録の重要性、書き方のポイントを紹介しましたが、介護記録を普段あまり書いていないという方は少しずつ書くようにしていってください。
ちなみに介護記録というのは介護保険法で義務づけられているんです。
書かなくていいではなく、書かないといけない!んですよね。
介護初心者の方や普段あまり介護記録を書いていない方は最初は書くのに時間がかかるかもしれません。
でも毎日書くことで誰でも書く時間が短縮されてきます。
ようは書くのに慣れてくるということです。
5W1Hを意識していれば書くのにそこまで悩むことはありませんので、普段のありのままの利用者の姿を記録に残すようにしていってください。